正月料理            ホームページへ

                                     

最近ではコンビニやスーパーが元旦早々から開店していることが多く、なんでも買えるのであまりお正月の厳粛さがなくなりましたが、ご家庭でもお正月料理を作ってみませんか。それほど時間はかかりませんし、こういう作業も季節感があって楽しいものです。

ここでは、普通の家庭で簡単に作れるような料理を並べました。

1. 三つ組(数の子、黒豆、田作り) 5.紅白なます                      
2.うま煮(お煮しめ) 6.きんとん
3.こぶ巻き  7. 酢バス(酢蓮)
4.鶏の照り焼き  

      三つ組             

数の子、黒豆、田作りは縁起物ですので、三が日にどうしても欠かせません。お雑煮と一緒に出してください。正月7日の七草がゆ、15日のあずきがゆをなさる方は、そこにもこの三点セットを添えてください。

1.  数の子(30日夜から)塩数の子は、手で食べやすい大きさに腹の切れ目に沿って二つか三つにちぎる。一晩水につけて塩抜きをする。水カップ1に塩をひとつまみ入れて(呼び塩といって、塩抜きをしやすくする)そこに塩数の子を入れ、一晩おく。塩は抜きすぎるとまずくなりますので完全に抜かないように。指の腹で薄皮を丁寧にむきます。

調味料:だし汁3.みりん1.酒1.醤油1の割合の漬け汁を作り、そこにつけておく。醤油は、白醤油があればその方が色がきれいに出来ます。室温では痛みやすいので、3日まで持たすには必ず冷蔵庫保存。それ以後には、新しく作り直します。

2.黒豆(29日夜につける)

黒豆は洗ってガーゼに包んだサビ釘と一緒に調味汁に一晩つけてから煮ます。

1、調味汁:鍋に水5カップを沸騰させて砂糖200グラム、しょう油大さじ2、塩小さじ1、重曹小さじ4分の1を加え、かき混ぜて溶かしておく。豆類は沸騰させると吹きこぼれするので、鍋は大きめの深鍋を用意する。

2、調味汁がほぼ冷めたら、よく洗った黒豆2カップとサビ釘をガーゼに包んだものを入れてそのまま一晩つけておく。

さび釘は色をよくするためのものですが、今はなかなかさび釘が無いので私は代わりにスーパーなどで売っているぬかづけ用の鉄を使っています。なくてもかまいません。少し茶っぽくなりますが、家庭用ですからいいでしょう。

3、一晩つけて膨れた豆を、はじめは強火で煮、沸騰したら浮かんだ白いあくを丁寧にすくい取り、カップ4分の1くらいのさし水をして、以後は落し蓋をして、なるべく弱火で煮ます。落し蓋は、料理用のクッキングペーパーを鍋の大きさに合わせて切って、ところどころに穴をあけてのせてもよいです。約数時間ゆっくり煮ますが、煮汁がひたひたになる頃、一粒食べてみて適当な硬さになっていれば火をとめ、サビ釘を取り除きます。強火で煮るとふきこぼれしますので、注意してください。

*鍋ですが、火を使わない二重鍋を使ってもよくできます。この場合、水分が蒸発しませんので、3のさし水をしません。また、煮えてから煮汁だけを煮詰めて戻し、つけておくとよいでしょう。

4、鍋ごとよく冷ましてから、ふた付の容器に入れ、保存します。煮汁はたえず豆にかぶっているように。放っておくとカビてきますので、元旦か二日に豆の漬け汁のみを鍋で沸騰させ、ここに豆を入れてさっとひと煮立ちしたらまたよく洗った容器で保存します。

3、田作り(ごまめ)

田作りは洗わずにそのまま少量ずつフライパンで弱火で焦げないように炒ります。炒りすぎると焦げますし、不足ですと生臭く歯切れが悪くなります。少量ずつ炒るのがコツです。苦味の嫌いな方は、熱いうちに頭を取り、指でおなかのワタを取り、タテ半分に裂きます。市販のはすべて頭付きですね。一袋を何度かに分けて炒ったら、粗めのざるにあけて、細かいカスをふるってのぞきます。鍋に砂糖、みりん、醤油各大さじ1、酒大さじ3の割り合いで煮立て、ここに炒った田作りを入れて手早くからめます。白ゴマを一緒に絡めても風味が出ます。砂糖が多すぎますと、くっついてしまいますので、ご注意ください。

 

       うま煮

お正月に欠かせないのはお煮しめですが、材料をひとつひとつ分けて煮ると色もきれいで味がさっぱりしておいしくなります。なるべく野菜の色を重視して煮ます。砂糖、塩、みりんでうす色に煮、香りが逃げないよう最後に醤油と酒を少したらす程度にします。なお、分量は各自でお決めください。

材料;レンコン、やつがしら、人参、竹の子、ごぼう、しいたけ、こんにゃく、くわいなど

*だし汁;たくさんの種類の煮物を作るのですから、まずはだし汁を大量に作っておきます。

市販のだしの素でもよいのですが、簡単ですので、作ってみましょう。まず大鍋に水を張り、コンブと鰹節(市販の鰹節削りパック)を入れ、弱火でゆっくりと暖めます。直径230センチの鍋で、10センチの長さのコンブ2枚くらい、鰹節パックは3袋くらい入れてください。沸騰寸前になったら、昆布を引き上げましょう。そして沸騰させたまま2,3分おき、火を止めます。鰹節が下に沈んでゆきます。あら熱が取れたところで上澄みをふきんか茶漉しでこしてだし汁をとります。最後に鰹節を絞らないで下さいね。料理用に、茶漉しを置いておくと何かと便利です。

このだし汁500mlに塩小さじ1/2、砂糖大さじ1、醤油大さじ1/2を入れたものを基本として使います。これを大量に作っておき、ひとつひとつの材料を煮るときに調味料を加えて味を調整します。ここでの調味料は薄味になっていますので、好みによって砂糖や醤油を加えたりしてくださいね。

 

1、八つ頭;皮をむいて食べやすい大きさに切ります。ちょっと大きめでよいでしょう。

ひたひたのだし汁に醤油小さじ1、みりん小さじ1を入れ、やわらかくなるまで煮ます。煮上がりに醤油と酒を小さじ一杯ずつ加えてから火を止め、そのまま煮汁につけおきます。いも類は崩れやすいので、煮すぎないようご注意ください。

2、人参;太い部分は周りに5個の切れ込みを入れ、梅の花型に切るときれいです。だし汁にみりんを加え、ゆっくりと煮ます。煮えたら最後に醤油と酒を少し入れます。そのまま煮汁に漬けおきます。

3.ごぼう;皮をむき、ころころと乱切りして5分くらい水につけてあくを抜きます。決して10分以上水につけないでください、味が逃げます。これも人参同様だし汁にみりんを加えて煮、最後に醤油、酒で味を調えます。

4、たけのこ;たけのこは他のものより少し味が濃い方がおいしくいただけます。ひたひたのだし汁に砂糖、醤油、みりんを加えて煮ます。

5、しいたけ;これは一番こってりと煮ます。なるべく肉厚の干ししいたけをかぶるくらいの水に23時間つけ、やわらかくなったら石づきを切り取ります。漬け汁はよいだしになりますので、茶漉しでこして煮汁に使います。この漬け汁に大目の砂糖、醤油を入れて弱火で煮汁がほぼなくなるまでじっくりと煮ます。

6、こんにゃく;こんにゃくはまず手綱に切り、ゆでて石灰分を抜いてからから使います。だし汁に少し醤油を足して煮ますが、砂糖は加えません。

さっぱり味が好みの方は、以上のようにして煮ますが、こってり味が好みの方は、後で述べますチキンの照り焼きの漬け汁を煮立ててそこで少し炒ってからめてもおいしいです。

7、はす;切ってからちょっと酢をたらした酢水に5から10分程度つけてあくを抜きます。後は普通に煮ます。細いものをとっておいて、後に述べる酢ばすを作り、写真にありますように包丁を入れて雪の輪レンコンを作って飾るときれいです。

8、くわい;くわいはほろ苦くてそれが又おいしいのです。色白に煮ましょう。

まず、芽を折らないように注意して薄く皮をむき、薄い塩水で5分くらいゆでます。柔らかくなりましたら花型に上下二つに分けます。芽の付いた方を下にして、上の中央に糸をつけた針を中頃までさし、左手で針を抑えながら右手で糸を上下に動かしてまわしながら切ってゆきます。ゆで卵の腹にナイフをジグザグに入れて花型にするのと同じです。写真(中央右の二個)を参考にしてください。出来たら、だし汁でさっと煮、酒と醤油はほんのひとたらし程度にしてその汁に漬けておきます。崩れやすいので、やさしく扱ってください。

                                            

      こぶ巻き

こぶ巻きは作って楽しい料理です。私は北海道の育ちですので、身欠きにしんだけで作りますが、好みによってごぼう、人参、しいたけなどを入れてもよいでしょう(冬のおやつは身欠きニシンでした。そのままぼりぼりたべたものです)。

材料(20本分);昆布、身欠きにしん、かんぴょう

作り方;昆布は洗うと味が逃げますのでふきんでふいて、さっと水をくぐらせてざるにあけておくと、柔らかくなって巻きやすくなります。10センチくらいに切ります。かんぴょうは塩水でもみ洗いしてひなた臭さをとります。身欠きにしんは乾燥して固いものは一晩米のとぎ汁につけておきますが、最近の身欠きにしんはほとんど柔らかいですね。熱湯をかけ、腹の部分が黄色になっていたら包丁で切り取ってから半身をさらに縦半分に切って、横に昆布の幅に切ります。

さあ、音楽でもかけて、食卓についてゆっくりと巻きましょう。昆布を広げ、ニシンを適当な大きさに切ったものを中に入れてくるっと巻き、かんぴょうで二巻きして結びます。昆布はふくらみますので、少しゆるめに結びます。浅い鍋または土鍋に、あれば竹の皮を敷き、昆布巻きを並べ、水をひたひたに入れて、酒大さじ3、酢小さじ2を入れ、落しぶたをして静かに煮ます。柔らかくなったら(竹串をさしてみる)砂糖大さじ6、みりん大さじ3醤油大さじ3を加え、さらに水分がかなり少なくなるまで煮ます。

     

 

    鶏肉の照り焼き

若い人からお年寄りまでに人気の照り焼きです。

鶏肉(ももまたは胸)を、みりんと醤油を同量のたれに23時間つけておきます。つけすぎると塩からくなります。厚手のフライパンに油を敷き、熱してから皮の方から焼きます。肉類は弱火でゆっくり焼くとジュース(肉汁)が出てしまい固くなりますので、ちょっと手間はかかりますが、中火で3分焼いては2分火を止め、という動作を繰り返して余熱で中まで焼くようにします。これはとんかつを作るときとか、厚めの肉に火を中まで通す時に使うやり方です。焼いて火を止めるを二、三回くらい繰り返したら裏返しにして、また同じく火をつけたり消したりして、竹串をさして透き通ったジュース(肉汁)が出たら焼き上がりです。表が60%くらい焼けてから裏がえしてください。

 

   紅白なます 

大根と人参で、紅白の色もきれいななますは、さっぱりして正月料理には欠かせない一品です。大根と人参はなるべく細く切ります。人参の量は、大根の20%程度に少なめにしないと、色のバランスが悪くなります。目安としては大根半分に人参5センチくらいでしょうか。まず、千切りにした両方に塩をふり軽く混ぜて30分程おきます。水が出てきますので、軽く絞ってから両方を混ぜ合わせて、あわせ酢であえます。合わせ酢は、酢大さじ3に砂糖大さじ1.5、だし汁または水少々です。塩はもみこんでありますので入れなくてちょうどよい加減です。これに、好みで柚子の皮を薄くそいで千切りにしたものとか、新巻鮭の鼻の上の軟骨の部分を薄く切って酢に漬けた氷頭(ひず・軟骨が氷のように透明なのでこの名になった)を混ぜてもおいしいです。氷頭は少し砂糖と塩を加えた酢につけておくと、大変おいしいものなので、鮭の頭が手に入ったときに作っておくと酒の肴によく合います。

  酢ばす(酢蓮)

酢ばすも、なます同様にさっぱり系の、お正月には欠かせない料理です。蓮根はあまり太くないものを選び、しっかりと皮をむきます。皮が少しでも残っていると、黒ずみますので、よく点検をしてください。次にうすく輪切りにし、沸騰した水に塩をひとつまみ入れてさっとゆでます。ほんの1分くらいです。ゆですぎると、しゃきしゃき感がなくなります。ボウルに酢水(水500mlに酢大さじ1くらい)を作り、そこにつけます。あくが抜けて真っ白なハスになります。次に、鍋に水、砂糖、塩を入れて熱して溶かします。酸っぱいので、煮物よりは味を濃くします。鍋の調味汁をほうろうまたはガラスの器にあけ、同量の酢を入れてここに先ほどのハスをつけます。 このときに、ハスのふちを穴を切りとるように包丁を入れて、雪の結晶のようにしますと、煮物の飾りにきれいです(うま煮の写真の上部参照)。

  きんとん

ご馳走の途中にちょっと甘いものがほしくなったりしますね、そういうときに、黄金色に輝くきんとんはいかがでしょうか。味のよいサツマイモで作ります。金時いもが最高です。あくが強いので、30日には準備をします。

材料:金時いも600〜800グラムくらいと砂糖200グラム、みりん大さじ1、塩少々、栗の甘露煮のびんづめ、くちなしの実1個(まな板の上で叩いて2,3個にしてからガーゼに包み、コップ1杯の水につけておく。ガーゼがない場合は漬け汁を茶漉しでこして使う)。くちなしは黄色の色付けに使うので、無くてもも十分おいしく出来ます。

 

作り方:サツマイモは輪切りにしてから、厚く皮をむきます。赤い皮の内側の黒い輪のあたりまで思い切ってむきましょう。すぐに黒ずんできますので、切ったらすぐに水につけます。 最低2〜3時間はつけてあくを抜きます。いもを鍋に入れ、包んだくちなしの実と黄色い漬け汁と水でひたひたにし、ゆでます。柔らかくなったらゆで汁を少し残して捨て、裏ごしの準備です。まず、残したゆで汁とイモに分量の砂糖から大さじ5杯くらいを厚いうちに加えて、木のへらでざっとつぶします。ゆで汁を残しておいたのは、つぶしやすく裏ごししやすいため、砂糖を入れるのは裏ごししたイモがダマにならないためです。厚いうちに裏ごししますが、網目は斜めになるようにこして下さいね。イモがさめるとうまくつぶれませんので、必ず熱いうちにこしてください。裏ごししたイモは鍋に入れ、残りの砂糖と塩ほんの一つまみを入れて練ります。全体がなめらかになってつやが出てきたら、栗を入れ、さらにねり、仕上げにみりん大さじ1を加えてねりあげます。さめると固くなりますので、あまり固くなるまで練る必要はありません。栗は大きすぎたら半分など、好みの大きさに切ってから入れましょう。 出来たらバットなど、口の広い器に広げ、あおいで冷まして照りを出します。栗のビンに入っている蜜は、ここでは使いません。なお、裏ごしは体力を使います、裏ごしをしない場合はミキサーでつぶしても、マシュポテト用のジャガイモつぶし器でも、すりこ木でつぶしてもいいですが、この場合イモの繊維が残ります。でもご家庭用ですので、気にしないでやりましょう。

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ではみなさま 来年も良い年でありますよう   NORI